離してくれない若頭さま

私の視線に入ったのは男性さんだった。


黒い眼鏡をかけてないけど確かに男性さんだった。


「な、なんで…」


今度は、じーっと見つめしまう。


頭の中はパニック状態。何度も瞬きを繰り返す。


突然、私の近くにいた倒れていた男性が起き上がる。


「影山…」


「よくもやってくれたなぁぁぁ!!!」


その声はとても殺気だっている。


倒れていた男は、突然私の方を見る、腕が伸びてきて
捕まる!と思った途端、上にグッと引っ張られ。


そのまま腕を引かれると、走り出す男性さん。


すごい速さで走るので私は、必死に足を必死に動かす
そうでないと転んでしまいそうだから。


「あ、あの!す、少しぃ速度を落としてぇください」


走りながら必死に言う。


「黙って走れ」


短く言われてしまうが、さっきのスピードよりも少し速度が落ちた気がした。




ようやく腕が離され、解放される。


私は床に手をつきと息を整える。


こんな走ったのはいつぶりだろうか。


必死に呼吸を整えているのに、男性さんは何もなかったかのようにスマホを触っていた。


カバンからスマホを出し時間を見ると23時を回っており、早く帰ろうと思い立ち上がる。


スマホを触ってる男性さんの横通り過ぎようとした瞬間、ガシっとまた腕を掴まれた。


「どこ行くの?まだ行って良いとは言ってないよ?」


ニコリと笑う男性さん。


私が昼間学校で見た男性さんだが、もう一つの顔の男性さんを知ってしまった私は、どっちが本当なのかわからなくなっていた。


私が動かなくなるのを確認すると腕を掴んだまま視線をスマホに戻した男性さん。


1台の車が目の前に止まる。


とても高そうで真っ黒なデザインの車。


「お待たせしました、海斗さん」


降りてきたのは、若い男性、流れるように後ろのドアを開ける。


「さぁ、乗って?」


爽やかに言う男性さん。


でも私の頭の中は、爽やかな男性さんと怖い男性さんのイメージで頭がパンク寸前、どっちが本物なんだ。


沢山走ったせいか足もパンパン出し、クタクタ。


このまま、どこかに連れて行かれるの困る、早く家に帰ろう。


今の男性さんならきっと帰らせてくれるだろう。


「あの…私家に帰りますっ!」


勇気を出していってみる。


よかった言えた!噛まずに言えた!その喜びを噛み締めていると。


(チッ)と舌打ちが聞こえた。


「早く乗れよ」


また、冷たい声が後ろから聞こえてくる。


ゆっくり後ろを振り返ると、爽やか男性さんではなく、怖い男性さんになっていた。


男性さんは、後ろを見て固まっている私に舌打ちをする。


背中をトンと押し車の中に押し押し込み、自分もサッと乗る。


男性さんが乗ったのを確認するとバタンとドアがしまる。


若い男性が運転席に乗り込むのを確認した男性さんは短く(出せ)と言うと車が動き出した。