鮫ちゃん、君の名前を聞かせて


鮫ちゃんは腕を下ろした。


「…ベッド広そうだし、一緒に寝る?」


照れる様子もない。

一応俺アイドルなのに…。

女の子にキャーキャー言われるのが当たり前じゃないんだ。


「…じゃあ、おいで」


強行突破だ、多分このままじゃ埒が明かない。

手を引っ張って、ベッドへ連行する。

なんか語弊があるけど。

フラフラと鮫ちゃんはついてくる。

ベッド横で手を離すと、またソファに戻ろうとする。


「ちょっと!」


本末転倒だ。

俺はもう一度腕を掴んで、お姫様抱っこをする。

ベッドに乗っけて、布団を被せて抱き寄せる。


「ダメだよ、逃げちゃ」


なんかほっとけない子だな、と思った。

何を考えてるか分からないけど、大きな何かを抱えてる感じが、ミステリアスで。

仰向けになる鮫ちゃんの横顔を眺めて、改めて可愛らしい子だなと思った。

無表情だけど、整った顔立ちはしている。

普通に喋って、笑顔で接しているような子だったら、モテモテなんだろうな。


いつの間にか鮫ちゃんは寝息を立てていた。

初めて会うアイドルに抱き寄せられても、普通に眠れる神経はどうかしてる。

俺、割と人気メンバーのはずなんだけど…。