そしてとうとう。
別れは別に突然ではなかった。
裕吾の新カノの先輩はじわりじわりとれねの彼氏を侵食し、れねは全くなすすべもなかった。
大学の窓の開いた廊下の自販機の前で、れねは振られた。
「だるくなった」
というのがその理由だった。
「私達の絆や、思い出をそういう風に言うんだ」
れねは、思い出の断片が、物凄い速さで頭の中を駆け抜けるのを見た。
二人で一緒に行ったお花見の、満開だった桜が、なぜか印象深く唐突に思い出された。
「そうは言わねーよ。楽しかったは楽しかった。今までありがとな」
「そんな身勝手。私はどうなるの」
「私はどうなる、とか、言うから嫌なんだよ」
泣きそうなれねに、裕吾は口調を変えた。
「別に今までは嫌じゃなかったんだけどさ」
裕吾は言いにくそうに言った。
「新しいものを、新しい人と、見てみたくなったんだ。」
それからわざとらしく伸びをして。
「俺はもう古いものは要らん。」
