小鳥が鳴いている声でれねは目が覚めた。
眠たい目でベッドから起き上がると、開いた扉の向こうのキッチンで、慶太が洗い物をしているのが見える。
「慶太」
れねは起き抜けでボサボサの髪を梳かしながら呼んだ。
「なに」
「何してるの」
「漂白剤にコップ漬けてる。れねがお酒飲んだやつ。お酒の匂い好きじゃないから。」
「ふーん」
小学5年生の男の子と大学生♀。
二人はいとこ同士で、慶太は両親の海外出張中、れねのアパートで預かることになっていた。
れねがベッドから降りて、ダイニングへ向かうと、シンクを拭いていた慶太が、キッチンから出て来た。
「コーヒー僕も飲む」
慶太がキッチン用の手袋を外しながら言った。
「子供のくせに」
「子供も飲むよ、コーヒー。それに、僕はれねよりは精神的に大人」
「ふん。なんでそう思うの?」
「昨日もお酒飲んで酔っ払って、シャワーも浴びないでバタンキューしてる人よりは、家事全部やって自己陶冶してる人のが大人なの。」
慶太は薬缶に水を淹れながらあっさりそう言うと、今度はコンロの火に薬缶を乗せた。
「あんまりお酒飲んでると彼氏に振られるよ」
「だって酔うの好きなんだもん。お酒の味は子供には分からないでしょ」
「僕一生分からないで良い。酔っ払うのってみっともないよ。やめれば?」
「無理。アルコール命。」
「まだ19なのに飲むんだから。僕知らない」
慶太は訳知り顔でそう言うと、コーヒーフィルターにコーヒーの粉を入れてお湯を注いだ。
湯気の立つコーヒーを片手に、慶太が作ったハムのスクランブルエッグとマーマレードトーストを二人で分け合って食べる。
「今日講義」
「今日はサボらないんでしょ?」
「多分。何か買って来て欲しい物ある?」
「お酒以外。外の猫達に上げる餌が切れてる。お砂糖も。」
「分かった」
慶太が支度をしてドアを開けて出ていくのを見ながら、れねは着替えを持ってバスルームに向かった。
