「何、お願いしたの?」 僕が聞くと彼女はまっすぐ前を向いたまま 優しげな声で言った 『翼が欲しい』 僕を見て寂しげな笑顔を浮かべて彼女は続けた 『そう、思ったの』 彼女は生まれつき足が悪い その為、好きなところへ好きに行くことはできない 「僕、翼がついた香恋、みてみたいな」 僕はそう返すことしかできなかった