孤高の心臓外科医は、憎しみの元恋人を熱情で囲い込む


悠醐に横抱きにされて、一葉は再会して初めて彼の部屋に入った。
というより入ることを、許されたという言い方の方が近いかもしれない。
すっきりとしたサボンの香りが、部屋全体を漂う。彼と同じ空間にいるときに、ふいに感じたものと同じだ。
ベッドのスプリングに体を跳ね返された直後、悠醐の体が覆った。

「君とまたこうすることができて、今死んでもいいくらいだ」
悠醐があまりに甘い眼差しを向けて伝えてくれるから、冗談に聞こえない。
一葉はそこは激しく首を振って否定した。

「物騒なこと、言わないでください。悠醐さん、もう離れないっていったでしょ……生きて、たくさん抱きしめて」

そう言いながら、一葉の指が自然と彼の鋭い頬骨をなぞった。
彼のすべてを愛している。不器用な性格も、本当は心優しいところも。時折、冷淡になるところも。
触れている骨も、自分の顔にかかる彼の黒くて硬い髪も、そして自分を見つめる瞳も。全部。

「抱いてください、悠醐さん……」

彼があまりに熱心に見つめてくるから、一葉は根気負けしたような気分になった。
案の定、彼は満足げに笑っている。

「ああ、そうさせてもらう」

一葉がまとう洋服を、悠醐は早急に脱がした。そして熱い肌に、そっと舌を這わせる。

「んっ……」

一葉は久しぶりの彼の肌の感触に、舌遣いに、指遣いに、身も心も溶かされて、熱に浮かされていく。

「可愛いな。俺の妻は」

すっかり息を上げ、汗で肌を肌を輝かせた悠醐は甘い言葉を吐く。だが、行動は真逆だった。
一葉が嬌声を上げるところを徹底的に攻めてきて、もうやめてほしいと泣いて懇願するまで続けた。
彼を受け入れていないのに何度も峠を越えてしまった。
息絶え絶えになる一葉を、悠醐は優しく微笑んで、強く抱きしめた。

「ゆうご、さん」
「愛してる」

たったひとこと、彼はそう耳元で囁いて、一葉のなかに沈んでいった。
ようやく身も心もひとつになれた喜びに、一葉の大きな瞳から涙の粒がこぼれた。

「わたしも、愛してます」

何度伝えても足りない。
この空白の五年なんてすぐ埋めてしまうくらいに、毎日、毎日―――彼に、伝え続けたい。

(愛してるって。大好きだって……)

そう強く想いながら、一葉は悠醐の中で深く意識を飛ばした。