一葉はそう言いながら、溢れてくる涙を止められなかった。
「こんなこと……後の祭りだけど、あのとき、すべてを捨ててあなたと一緒にいればよかった。ひとりにしないといったのに……!」
一葉の頭に、ずっと清香の言葉が張り付いていた。
――彼が自分の手で命を絶とうとした。
人の命を救おうと懸命に頑張っていた悠醐を、絶望させてしまったのだ。
「本当に、わたしと付き合ったばかりに……ごめんなさい。大変な思いをさせて、本当にごめんなさい……」
泣きじゃくる一葉を、悠醐はきつく抱きしめた。
だがその逞しい腕も、彼女から聞く真実に震えていた。
「一葉が清香から何を聞いたのかわからないが……君が、謝ることじゃない。俺の弱さだ」
悠醐は、はっきりと言い切る。
そして愛おしむように目を閉じ、彼女の眦から流れる涙を唇で受け止めた。
「俺も……本当に君に悪いことをしてきた。一葉が俺の将来を守るために身を引いてくれたのを知らず……申し訳なかった」
「ゆうご、さん」
好きすぎたばかりに、ずれ始めた歯車。
修復できないほど大きく離れた心と心だったはず。だが今、一葉は悠醐に抱きしめられている。
「一葉、もう一度君を幸せにしたいんだ」
切望する声は、かすかに震えていた。
「俺と本当の夫婦になってほしい」
一葉の涙が止まる。悠醐はもどかしい気持ちをぶつけるかのように、きつく彼女を抱きしめた。
「君を愛してる。心から」

