交際しているとき、一緒に布団にくるまり、彼の寝顔を見るのが好きだった。
いつも神経を張り巡らして、隙のないような雰囲気の悠醐が唯一無防備な姿を見せる。それが心を許した自分だけという優越感が心を満たしていた。
こんな形でも、傍にいられることにすがってしまう自分がいた。
(好き……)
心の奥にしまい込んだ思いが溢れ出したそのとき、ふっと目の前の瞳が開かれる。
一葉が身を引こうとした直後、すかさず逞しい腕が彼女の華奢な手首を掴んだ。
「……なにを見てる?」
視線が至近距離で交わる。
動揺する一葉に、悠醐は容赦なく刃の眼差しを向けた。
「ご、ごめんなさい。悠醐さんが見ていた本のタイトルが気になって……」
「本……?」
悠醐は一葉から本へと視線を流し、無言で掴んでいた腕を離した。
「君には関係ない」
悠醐は無造作に髪を掻き上げると、おぼつかない足取りでソファから立ち上がる。
その背中には、疲労が滲んでいた。
先ほど顔を近づけた時にも感じたが、少しやせたような気がする。
一葉は一瞬、リビングから自室に逃げようと悠醐に背を向けるが、思い切ってもう一度彼を見た。
「悠醐さん、あのっ……お腹、空いてませんか? ご飯、すぐに用意できますよ」
一葉の言葉に悠醐は一瞬動きを止めた。
だがすぐに、わざとらしくため息を吐いた。
「勝手にするから構わないでくれ」
「ご、ごめんなさい……」
拒絶ともとれる悠醐の物言いに、一葉は口を噤んだ。
そのまま逃げるようにして、リビングを出る。
(だめ。悠醐さんに嫌っているのに、無理やり関わろうとしちゃ)
いつも神経を張り巡らして、隙のないような雰囲気の悠醐が唯一無防備な姿を見せる。それが心を許した自分だけという優越感が心を満たしていた。
こんな形でも、傍にいられることにすがってしまう自分がいた。
(好き……)
心の奥にしまい込んだ思いが溢れ出したそのとき、ふっと目の前の瞳が開かれる。
一葉が身を引こうとした直後、すかさず逞しい腕が彼女の華奢な手首を掴んだ。
「……なにを見てる?」
視線が至近距離で交わる。
動揺する一葉に、悠醐は容赦なく刃の眼差しを向けた。
「ご、ごめんなさい。悠醐さんが見ていた本のタイトルが気になって……」
「本……?」
悠醐は一葉から本へと視線を流し、無言で掴んでいた腕を離した。
「君には関係ない」
悠醐は無造作に髪を掻き上げると、おぼつかない足取りでソファから立ち上がる。
その背中には、疲労が滲んでいた。
先ほど顔を近づけた時にも感じたが、少しやせたような気がする。
一葉は一瞬、リビングから自室に逃げようと悠醐に背を向けるが、思い切ってもう一度彼を見た。
「悠醐さん、あのっ……お腹、空いてませんか? ご飯、すぐに用意できますよ」
一葉の言葉に悠醐は一瞬動きを止めた。
だがすぐに、わざとらしくため息を吐いた。
「勝手にするから構わないでくれ」
「ご、ごめんなさい……」
拒絶ともとれる悠醐の物言いに、一葉は口を噤んだ。
そのまま逃げるようにして、リビングを出る。
(だめ。悠醐さんに嫌っているのに、無理やり関わろうとしちゃ)

