紹介はなかったが、先ほど院長の隣にいたのが以前より悠醐との縁談を切望していた娘の清香に違いないだろう。 美しかったが、初対面であそこまで怒りを露にできるほど。気の強さが際立っていた。 (もう、会いたくない。院長にも、娘さんにも……関わりたくない) 誰も守ってはくれない。もちろん〝夫〟の悠醐も。 だがこうして籍を入れ、関係者たちに紹介までしたのだ。あのふたりは嫌でも受け入れざるを得ない。一番の難関を突破したと考え、一葉は動悸を落ち着かせたい一心で深呼吸を繰り返した。