その端正な顔立ち、深い色をした切れ長の瞳。
意志の強さを感じるきりりとした眉。どう見ても、彼は――。
「ゆう、ごさん……?」
思わず名前を呼んだが、彼は何も答えることなく、冷ややかな瞳で一葉を見つめるだけだ。
裏切った故に人違いだと信じたい気持ちと、どうしようもなく再会を喜ぶ自分がせめぎ合う。
どくどくと鼓動の音が体に響き、指が震えた。
一瞬の沈黙が落ち、やがて彼は一葉から視線を外した。
「これから詳しいご説明をさせていただきます。こちらへご案内しますので、よろしいでしょうか」
悠醐に声をかけられ、我に返る。すでに背中を見せた彼に、一葉は急いで後に続いた。
(なんてこと……悠醐さんが、お父さんを助けてくれたなんて……)
父が倒れ、五年もの間忘れられなかった彼が、目の前に現れた。
すべて突然のことで、頭が追い付かない。
ふたりがやってきたのは、手術室エリアの最も奥にある簡素な説明室だった。
小さな机と椅子、壁際にはモニターと資料が置かれているだけの、無機質な空間。
「こちらへどうぞ」
悠醐に促され、一葉はぎこちなく椅子に腰を下ろす。
向かいに座っていた彼は、すぐに手元の資料に目を落とし、唇を開いた。
「まず、お父様の状態についてお伝えします。心筋梗塞により血管が詰まり、一時的に心停止の状態になっていました」
彼は名前を名乗らないまま説明を始めた。父を執刀したということも言わない。
だが、机に無造作に置かれた資料の主治医の欄には、【五十嵐 悠醐】と名前が記載されている。
やはり、彼には違いないようだ。
「ただ、搬送が早かったこともあり、こちらで蘇生処置を行い、その後の手術も含めて、現在は心拍は再開しています」
「よかった……」
張り詰めていたものがわずかに緩んで、一葉は思わず安堵の声を漏らした。だが悠醐は、そんな一葉に冷ややかな眼差しを向ける。
「……ただし、心停止していた一定時間あったため、脳に十分な酸素が行き渡っていなかった可能性が高い」

