その日の夜、一葉はまだ心臓が見えてない段階での報告に迷ったが、悠醐も喜んでくれると思い、意を決して妊娠していることを告げた。
彼は驚き言葉を失っていたが、すぐに一葉をきつく抱きしめ、興奮を露にした。
「夢みたいだ……一葉の子供なんだから、絶対に可愛い」
「ふふ、悠醐さんの子供なんだから絶対にかっこいい」
ふたりは顔を見合わせ、小さく笑い合った。
まだ心拍も確認できていない、ごく初期の段階だというのに。まだ見ぬ我が子のことで頭がいっぱいだ。
悠醐も一葉と同じく、落ち着かない様子だった。すぐにスマートフォンを手に取り、妊娠初期の経過や必要な準備を調べ始めた。
一葉も自然とその肩に寄り添い、同じ画面を覗き込む。
気づけば、外はすっかり夜も更けている。
「……すまない! 早く寝よう、一葉」
我に返った悠醐は、急いでスマートフォンを閉じる。
その顔はもう、昨日までの悠醐じゃない。子どもを守ることを最優先に考える、父親の顔だった。
一葉はくすりと笑い、そっと彼の手を取った。
「ふふ。悠醐さん、可愛い」
その後、しばらくは体調がよかったり悪くあったりを繰り返していた一葉だったが、子供の心拍が確認できた頃から、みるみる体調が悪くなっていた。
「一葉、大丈夫か?」
家にいても悪阻がひどく、家事はおろかほとんど動くことができない。病院の仕事もままならないほどで、一葉はついに入院することになった。
診察では脱水と体重減少が認められ、滴で水分と栄養を補いながら、安静にして様子を見る方針となる。
「悠醐さん、迷惑をかけて……本当にごめんなさい」
ベッドに横になっている一葉の手を、悠醐はそっと引き寄せ、しっかりと包み込んだ。

