孤高の心臓外科医は、憎しみの元恋人を熱情で囲い込む


青天の霹靂とはこのことだ。
ご懐妊。ということは、彼との子を身ごもったということだ。
驚きと喜びで足ががくがくと震える。結局内診をしてもらったが、風邪でもなんでもなさそうだった。

その足で産科に向かい、超音波を撮ってもらうことになった。
診察台に上がり触診をしてもらいながら、モニターに映し出された映像に目を凝らす。

「ここですね」

医師が画面を指し示す。
そこにあったのは、小さな粒。胎嚢と呼ばれる袋だった。
まだ心臓はできておらず、鼓動も聞こえない。ごく初期の状態なようだ。

「これが、赤ちゃんになっていくんですか……?」

すると医師は穏やかな声で答える。

「ええ、そうですよ。予定ですと再来週くらいから心臓が見えてくると思います。ご出産の医師はありますか?」

まだ形のない〝赤ちゃん〟――。
それでも、目を離すことができなかった。
自分の中に、新しい命が存在しているという事実が、ゆっくりと胸に染みた。
怖さも、不安もある。
けれどそれ以上に、この命を守りたいという気持ちが、はっきりと浮かんだ。

「もちろん、産みます」