孤高の心臓外科医は、憎しみの元恋人を熱情で囲い込む

さっそく一葉は内科に向かった。
普段まったく病院にかからないので、初診の問診票を記入することになった。

(妊娠している可能性はありますか……もしくはありませんか……)

女性限定でそんなことを書く欄がある。一葉は迷わず【していない】に〇をしようとしたが、ふと動きを止めた。

(あれ……今月、きたっけ)

ふと、月のものが二か月近く来ていないことに気づく。いや、悠醐と体を重ねるときは必ず避妊をしていた。だから、妊娠の可能性は極めて低いだろう。

(でも、百パーセントじゃない……もしかして……)

否定できなかった一葉は、結局【可能性がある】の項目に〇をする。
やがて看護師に、検尿カップを渡され、念ため妊娠検査を実施すると伝えられた。

(え……? 赤ちゃんが来てくれてたら……すごくうれしい)

悠醐と再び結ばれたうれしさで頭がいっぱいで、子作りは頭になかった。
だが本当の夫婦になった今、もちろん悠醐との子は将来的にほしい。
ふたりなら、大切に育ててあげる自信しかなかった。

「五十嵐さん、どうぞ」
一葉は緊張で震えながら診察室に入る。男性の先生が、電子カルテに目を通してすぐ、笑顔で一葉を見た。

「五十嵐さん、ご懐妊です。一応風邪かどうか診させてもらいますが、きっと軽いつわりが始まっているんでしょう」
「えええ⁉」