「一葉ちゃん、一葉ちゃーん……?」
ふいに藤木先輩の声が耳に届き、一葉ははっとした。
(また、ぼうっとしてた。しっかりしなくちゃ)
「先輩、どうしました?」
無理やり笑顔を作る。だが藤木は、一葉の異変に気付き硬い表情を崩さない。
「顔色すごく悪いよ。昨日もそうだったし……体調崩してるなら無理しない方がいいよ?」
「すみません。ご心配おかけして」
一葉は思わず頭を抱えた。
このところ頭痛がひどく、そのせいか吐き気がするときもある。市販の薬を飲んでやり過ごしていたが、あまり効いているような気がしなかった。
結局仕事にも身が入らないので、藤木に勧められるまま、仕事を早退し、院内にある内科を受診することになった。
今日は悠醐と一緒に家に帰る約束をしていた。残念だが、諦めるしかない。
(連絡、しておこう)
一葉が体調不良の旨を伝えると、しばらくして悠醐から返事が来た。
【一緒にいてやれなくてごめん。気を付けて行ってきて。帰ったら看病させてくれ】
悠醐のメッセージに、一葉は思わず笑みをこぼした。
交際を始めてから、悠醐は以前のように……というより、以前よりも、一葉を溺愛するようになった。
さすがに院内ではしないが、家ではずっといちゃついている。毎日愛されているのを実感して、こんなに幸せでいいのかと不安に思うほどだ。
(早く直そう。悠醐さんも、病院のみんなにも迷惑かけたくないし)


