孤高の心臓外科医は、憎しみの元恋人を熱情で囲い込む

指のあいだをなぞるように、ゆっくりと触れてくる。
まるで昨晩を思い出させるような動きだ。

「今日、オペが入らなければ夕方には帰れる。一葉の作った夕飯を食べたい」

どこか甘えるような響きを含んだ声に、胸がくすぐったくなる。

「もちろんです。今日は悠醐さんの好きだったご飯、作って待ってます」

一葉が微笑んで答えると、悠醐はさらに目元を和らげた。
悠醐は名残惜しむように、絡めていた指をゆっくりと……時間をかけてほどく。

「食事も楽しみだが、デザートも頼むよ」

意味ありげな言葉に、一葉の呼吸が一瞬止まった。
視線を外そうとするのに、彼に熱く見つめて目を逸らせない。そんな反応を楽しむように、悠醐はわずかに口角を上げた。
何も言わずに背を向ける仕草さえ、どこか余裕に満ちている。

(悠醐さんに、何を食べてもらう)

そのまま彼の姿が見えなくなっても、一葉の胸の奥は、まだ静まらなかった。
悠醐が笑ってくれるようになったことが、この上なく嬉しい。

そして……彼が自分を求めてくれることが。
今夜のことを思うだけで、体の奥がじんわりと熱を帯びていった。