その第一声に、僕の頭は真っ白になる。
――そうだった、ここ日本だった。
「えと、こんにちは」
とっさに思いついた日本語で挨拶をする。
日本での活動も長く、流暢ではないけれど日常会話くらいなら日本語で話せる。
……と思っていた。
「あ、あの……たお、たおるをいちこ……あっ、いっこ、ください」
だけど咄嗟にとなると言葉が出てこなくて焦ってしまった。
たくさん詰まってようやく出た日本語に自分でもがっかりする。
僕の意図はちゃんと伝わっただろうか。
『かしこまりました。ハンドタオルとバスタオル、どちらになさいますか?』
優しくて柔らかい声が、僕でもわかるようにゆっくり言葉を紡いでくれる。
「あっ……ええと、あの……」
たぶん、タオルの種類を聞かれている。
それはわかるのに日本語でどう言うかがわからず、言葉に詰まってしまう。
そのとき、
『Would you like a hand towel or a bath towel?』
電話の向こうから流暢な英語が聞こえた。

