君の言葉で夢を見たい



『あっ……ええと、』

『Both, please—one of each.《それぞれ一つずつお願いします》』


「Certainly.A hand towel and a bath towel, one of each.《かしこまりました。ハンドタオルとバスタオルを一枚ずつですね》」

「Is there anything else you need?《他にご入用なものはございますか?》」


『No, that's all. Thank you.《いいえ、それだけです。ありがとうございます》』



会話が英語になった途端にやりとりがスムーズに進んで、肩の力が抜けたのが自分でもわかった。


英語での対応には慣れているけれど、英語が伝わらないパターンも普通にある。

だからこの瞬間はいつも少し緊張してしまう。



「You're very welcome.We'll send them up to your room shortly.《とんでもございません。すぐにお部屋にお届けにあがります》」

「Please enjoy your stay.《それではごゆっくりお過ごしくださいませ》」



そう告げて、受話器の向こうからカチャリと聞こえるのを待った。

しばらくしてゲストとの電話が切れると、その指で備品の管理をしている客室課の内線番号を押す。



「 お疲れ様です。ベルサービスの夏木です。3001のお部屋にバスタオルとハンドタオルを一枚ずつおねがいします。お客様、ご滞在中です」



追加依頼の定型文を口にして、ようやく電話対応が終わる。


すると隣にいた相田ちゃんがそれを見計らっていたかのように私の方を見た。



「こんな時間にオーダーなんて珍しいですね」