敏腕パイロットは空の上のシェフを愛す~愛おしい双子を添えて~




やりがいを感じるようになったケータリングスタッフとして現場に立ちながら、少しずつメニュー企画にも関わらせてもらえるように努力すると決めたのだ。
いつか、久登が操縦する機体の機内食を考える側に回りたいという夢を密かに心に抱いて……。
 
「「では、手をぱっちんしてください!」」
 
とある休日の昼下がり。ダイニングキッチンで、大翔と大輝が横並びになって手をぱっちんと合わせる。これはいつも保育園で昼食を食べる時に、担任の先生がみんなの前でやっているらしい。

ダイニングテーブルには、花梨と双子が一緒に作ったスープとサラダとハンバーグがずらりと並んでおり、それを囲むようにして花梨と久登が椅子に座っていた。

「ぱっちんしました!」

花梨と久登が手を合わせ、笑顔で答えると、双子は満面の笑みで「いただきます!」と声を揃えて言う。ふたりの言葉が合図となり、にぎやかな食事が始まった。今日は久登と暮らし始めて初めての家族団らんの食事。花梨と双子は気合を入れて今回食事を作った。

「おいしー!」

双子は声を揃え、夢中で食べている。
久登はみんなが作ったスープを飲んで、柔らかく、幸せそうな顔で笑う。

「……最高に上手い。さすが、花梨の子だけある。料理のセンスが抜群だ」

久登が真剣なトーンで言うので、花梨はプット思わず噴き出した。
花梨は、久登の子供の溺愛ぶりが微笑ましい。

そして同時に、いいパパだなとしみじみと思う。

「よかった。久登さんにまた、スープを振舞える日がくるなんて幸せです」

花梨の言葉に、久登はほっぺにキスで返す。
そして、耳打ちをするようにして彼女の耳にそっと唇を寄せた。

「今日は、花梨も食べていいか?」

低く、耳元で囁かれる。花梨の頬が、じんわりと熱を持った。恥ずかしいけれど、命がけで家族のもとへ戻ってくれた彼に求められることは素直に、嬉しかった。

「……もう」

花梨はまともに視線を合わせないまま、久登の耳に唇を寄せ、そっと耳打ちした。

「熱いうちに、食べてくださいね?」

久登は小さく笑い、花梨に甘い眼差しを送る。
これから一生、愛する人へ料理を振舞う幸せを噛みしめながら、花梨もひとくち、自分のスープを口に含む。