花梨が口元を手で覆い、目を閉じて感じ入っていると、久登はあわいから顔を上げてふっと口角を上げた。
「可愛いママには、いじわるしたくなるが……俺もあの子たちの父親だから……な」
久登はそう言うと、すっかりと熟れたその場所に自身のものをあてがう。ゆっくりと腰を落とし、味わうように花梨の中に沈めた。
「あ……んっ……!」
「キスをしていたら、声は漏れないよ」
突然のことに、驚いた花梨は目を白黒とさせる。
久登を受け入れるのは、実に四年ぶり。好きな人を受け入れ、全身が歓喜でぶるぶると震えた。さらに奥へと彼を受け入れるように、彼女の中が激しく蠢く。
上体を起こした久登は片手で彼女の頭をそっと包み込んで、唇を落とした。
「俺は、君しか考えられなくて……抱きたいと思うのも、君しかいないんだ」
「ん……」
久登は花梨の口を塞ぐようにして舌を絡めながら、腰を穿つ。その甘い律動に、花梨は全身が蕩けるような心地で、彼の広い背中に腕を回す。
(久登さんのしてくれることが全部甘くて……私、だめな人間になっちゃいそう)
今まで花梨は厳しい環境の中で、誰かにほとんど頼ることもなく生きてきた。だからこうして、久登に見返りのない愛を与えられたり、全身で愛されることに慣れていない。
こんなに幸せになってしまっていいのだろうか、と変に不安になったりもする。
だが花梨がそう思う余裕もなくなるほど、久登は絶え間なく彼女に愛を注ぐのだ。
視線で、体温で、言葉で、そして態度で――。
ここまでまっすぐ自分を想ってくれる彼に対して、愛されている自分に違和感を持つこと自体が、許されないと思うほどだ。
なんと幸せなことだろうか。
「っ……久登、さん……愛してます……」
久登にきつく手を握られながら、全身で愛を受け入れ、花梨の口から自然と彼への想いが溢れ出す。久登は彼女の言葉にすぐに反応し、言葉よりも先に唇に口づけを落とした。
「愛してるよ。花梨……絶対に、誰よりも幸せにする」
久登は熱い眼差しを向けながら、激しく腰を打ち付けた。一気に絶頂の淵に追いやられながら、花梨は久登の愛の言葉をしみじみと心で受け取っていた。
(私も、久登さんを幸せにする。彼がくれるように、私も愛を与え続けたい――……)
やがて久登も峠を越え、ふたりはベッドの海に寄り添うようにして沈んでいく。
心地よい夢と現実のはざまで、ふたりは子供たちの傍に戻ることを考えながら、そっと唇を合わせたのだった――。


