その一文を見て、花梨は顔を真っ赤にしてしまったせいで、大翔と大輝に熱があるのではないかと心配されてしまった。
四年前、初めてふたりきりになったときに、彼の甘い片鱗を見た気がしたが、再会してからは惜しげもなく曝け出しているような気がする。
ポーカーフェイスな普段の彼を知っている分、そのギャップに戸惑うが、正直なところ、素直に愛情表現してくれるのは、とても安心するし、嬉しい。
花梨は照れ臭かったが、ひとりきりになったとき、こっそり【私も愛してます】と返事を返した。
(出会ったのがかなり前だから、今更やり取りをしているのが少し不思議な感じかも)
久登はパイロットで、不規則な勤務形態だ。逆に花梨は完全に固定されたシフト制のため、スケジュールを共有すれば、羽田で待ち合わせることもできる。
そう久登が言ってくれて、花梨は空港内のカフェや展望デッキで落ち合う約束をした。
離れている期間が長かったので、こうして距離感を戻していくような時間は、花梨にとって必要だった。
「――花梨、お疲れ様」
「久登さん、お疲れ様です! 結構待ちましたか?」
仕事を終えた花梨は、急いで国際線の展望デッキへ向かった。
ガラス扉を抜けた先には、まだ完全には暮れきらない空が広がっている。
西の空には淡いオレンジが残り、滑走路の灯りが少しずつ存在感を増し始めていた。
誘導灯が点々と並び、ゆっくりと移動する機体の白い胴体を縁取っている。
昼と夜の境目――その曖昧な時間帯は、なぜか胸を落ち着かせる。
エンジン音が低く響き、遠くで一機が静かに加速していく。
やがて機体は滑走路を離れ、夕焼け色の空へと吸い込まれていった。
「……なんだか、この時間落ち着きます」


