好きになった人は、みんなのアイドルで 3

勢いで新幹線に飛び乗った。
こんなこと、したことない。

……会ってくれるかな。
……会ってくれたとして、なんて話したらいいんだろう。

分からないけど、会いに行くことしか考えられなかった。

悠太郎くんの元気な顔が見られたら、それでいい。
アイドルでも、アイドルじゃなくても、私は悠太郎くんがいい。

新幹線なのに、すごく遅く感じた。

ーー
(……この辺、だよね)
蓮くんが送ってくれた住所を頼りに悠太郎くんの家を探す。

「ASAKURA」

……あった。ここだ。

大きく息を吸い込んで、インターホンを押す。
「はーい」
と明るい女性の声がした。

「あの、朝比奈紬と言います」
「悠太郎くんの、大学の同級生で……」
「悠太郎くんに、会わせてもらえませんか」

「あらあら、ちょっと待ってね」
という声がして、玄関の扉が開く。

……この人が、悠太郎くんのお母さん。

「朝比奈さん、良かったら上がって」
優しく声を掛けてくれる。
「紅茶は好き?」

「あ、好きです。でも、あのお気遣い頂かなくて大丈夫です」
「私が勝手に押し掛けて……」

「ここに座ってて」
「悠太郎、呼んでくるからね」

素敵なティーカップ。
……お部屋も素敵。

ここで、悠太郎くんは育ったんだ。

悠太郎くんの優しさの理由が、分かった気がした。

悠太郎くんのお母さんが戻ってくる。
「ごめんね、あの子……」

「会いたくない、ですよね」
分かっていたけれど、ここまで来て会わないわけにはいかなかった。

「あの、ドア越しに、お話だけでもさせてください」