月下ノ姫

そして自然に、 海未の手からシーシャを取った

海未「返して」

伊織「吸いすぎ」

海未「ストレス」

伊織「溜め込みすぎ」

海未は少しだけ眉を寄せる

こうやって、 伊織だけは遠慮なく踏み込んでくる

海未「……別に平気」

伊織「嘘」

即答だった

海未は黙る

伊織「お前、“平気”しか言わない」

海未「……」

伊織「もっと頼れ」

海未「頼り方、分かんない」

その瞬間

伊織の目が、 少しだけ揺れた

海未は無意識だ

自分がどれだけ危ういことを言っているのか、
全く分かっていない

伊織「……海未」