盛大な拍手の中、開催セレモニーは無事終了した。
記者たちのフラッシュ。
関係者たちの挨拶。
次々飛び交う名刺交換。
大規模プロジェクトらしい慌ただしさが、会場中に広がっている。
でもその中で。
私は少しだけ息を吐いた。
ようやく終わった。
そう思ったのも束の間。
「ほな、ここから本番です」
隣で森崎さんが小さく笑う。
「セレモニーは前座みたいなもんなんで」
さらっと恐ろしいことを言う。
そのまま私たちは、会議室奥のブースへ移動した。
そこにはすでに、“フライトナースチーム”の札が置かれている。
ドクターチームとは別行動らしい。
広めの円卓。
そこへ、私たち指導ナース4人と育成ナース6人が集まった。
近くで見ると、みんなまだ少し緊張しているのが分かる。
それでも目は真剣だった。
森崎さんが椅子へ座りながら、ぱんっと軽く手を叩く。
「はい、じゃあ改めて」
「今日から半年、よろしくお願いします」
柔らかい声。
でも空気はちゃんと締まる。
「さっきは大人数やったんで、ここではもっと気楽にいきましょか」
そう言って笑うと、育成ナースたちの表情が少しだけ和らぐ。
すると森崎さんがこちらを見た。
「まず指導者側から、もうちょい詳しく自己紹介しときます?」
神波さんが先に頷いた。
「じゃあ俺からいこうか」
「香川県・四国総合救命センターの神波 岳です」
「フライト歴は9年、歳は34です。」
「災害派遣とか、広域搬送系メインでやってました」
日に焼けた顔で笑う。
「分からないことがあれば、聞いてください」
「現場は“聞ける人”が強くなりますので」
その言葉がすごく自然だった。
経験してきた人の言葉だと分かる。
続いて斉賀さん。
「北海道・北陵医科大学病院の斉賀です」
「フライト歴20年。46歳のおじさんです。」
自虐的な言葉にみんな少し表情が緩む
でも。
20年。
かなり長い。
20年も最前線に居続けるのがどれだけ大変か私は知ってる。
「主に重症外傷と雪山救助を多く経験してます」
声は静か。
でも圧倒的に落ち着いている。
“ベテラン”という言葉がそのまま似合う人だった。
「よろしくお願いします」
でもそれだけで十分伝わるものがある。
そして。
「ほな次、一ノ瀬さんお願いします」
突然振られて少し驚く。
でも私は軽く背筋を伸ばした。
「東京・中央大学病院ICU所属、一ノ瀬紗凪です」
「フライト歴は4年目です」
「主に重症管理と急変対応を中心にやってきました」
みんなが真剣に聞いている。
少しだけ緊張する。
「私もまだまだ勉強中なので、一緒に頑張れたらと思ってます」
「よろしくお願いします」
頭を下げる。
すると。
「本物の一ノ瀬さんだ…」
育成ナースの男性が思わず呟いた。
「え?」
「東京でフライトナース目指してる人なら知らない人いないと思います」
いやいやいや、それは言い過ぎでしょう!
でもその子の目は至って真剣で。
「ほぉ〜」
森崎さんがニヤニヤとする。
「それにさっき映像流れてたじゃないですか」
「あの現場映像、一ノ瀬さんですよね?」
どうやらセレモニー中に流れていた実際のフライト映像を見ていたらしい。
「さすがとしかいいようがありませんでした」
「全然慌ててなかった」
「え、しかも綺麗……」
最後の小声まで聞こえてしまう。
私は少し困ってしまった。
すると。
「お前ら顔に出すぎやねん」
森崎さんが笑いながらツッコむ。
空気が一気に和らいだ。
そして最後に。
森崎さんが椅子を回しながら、みんなを見る。
「改めまして」
「大阪中央医療センターの森崎隼斗です」
「フライト歴8年」
「今回このプロジェクトの看護師主任やらせてもろてます」
さっきの壇上とは違う。
もっと近い距離感。
でもやっぱり、自然と空気の中心になる人だった。
「半年間、皆さんには本気で現場叩き込みます」
「多分めちゃくちゃしんどいです」
「普通に怒る時もあると思います」
育成ナースたちの顔が少し強張る。
でも森崎さんは、そこでふっと笑った。
「でも安心してください」
「見捨てることだけは絶対せえへんので」
その言葉に。
みんなの表情が少し変わった。
不安が、少しだけ安心へ変わる。
森崎さんの指導方法がなんとなく分かってきた気がする。
そして、森崎さんが立ち上がる。
「じゃ、次は育成側も自己紹介いきましょか」
「未来のフライトナースさん達、お願いします」
その言葉に。
6人の育成ナースたちが、少し緊張した顔で立ち上がった。
記者たちのフラッシュ。
関係者たちの挨拶。
次々飛び交う名刺交換。
大規模プロジェクトらしい慌ただしさが、会場中に広がっている。
でもその中で。
私は少しだけ息を吐いた。
ようやく終わった。
そう思ったのも束の間。
「ほな、ここから本番です」
隣で森崎さんが小さく笑う。
「セレモニーは前座みたいなもんなんで」
さらっと恐ろしいことを言う。
そのまま私たちは、会議室奥のブースへ移動した。
そこにはすでに、“フライトナースチーム”の札が置かれている。
ドクターチームとは別行動らしい。
広めの円卓。
そこへ、私たち指導ナース4人と育成ナース6人が集まった。
近くで見ると、みんなまだ少し緊張しているのが分かる。
それでも目は真剣だった。
森崎さんが椅子へ座りながら、ぱんっと軽く手を叩く。
「はい、じゃあ改めて」
「今日から半年、よろしくお願いします」
柔らかい声。
でも空気はちゃんと締まる。
「さっきは大人数やったんで、ここではもっと気楽にいきましょか」
そう言って笑うと、育成ナースたちの表情が少しだけ和らぐ。
すると森崎さんがこちらを見た。
「まず指導者側から、もうちょい詳しく自己紹介しときます?」
神波さんが先に頷いた。
「じゃあ俺からいこうか」
「香川県・四国総合救命センターの神波 岳です」
「フライト歴は9年、歳は34です。」
「災害派遣とか、広域搬送系メインでやってました」
日に焼けた顔で笑う。
「分からないことがあれば、聞いてください」
「現場は“聞ける人”が強くなりますので」
その言葉がすごく自然だった。
経験してきた人の言葉だと分かる。
続いて斉賀さん。
「北海道・北陵医科大学病院の斉賀です」
「フライト歴20年。46歳のおじさんです。」
自虐的な言葉にみんな少し表情が緩む
でも。
20年。
かなり長い。
20年も最前線に居続けるのがどれだけ大変か私は知ってる。
「主に重症外傷と雪山救助を多く経験してます」
声は静か。
でも圧倒的に落ち着いている。
“ベテラン”という言葉がそのまま似合う人だった。
「よろしくお願いします」
でもそれだけで十分伝わるものがある。
そして。
「ほな次、一ノ瀬さんお願いします」
突然振られて少し驚く。
でも私は軽く背筋を伸ばした。
「東京・中央大学病院ICU所属、一ノ瀬紗凪です」
「フライト歴は4年目です」
「主に重症管理と急変対応を中心にやってきました」
みんなが真剣に聞いている。
少しだけ緊張する。
「私もまだまだ勉強中なので、一緒に頑張れたらと思ってます」
「よろしくお願いします」
頭を下げる。
すると。
「本物の一ノ瀬さんだ…」
育成ナースの男性が思わず呟いた。
「え?」
「東京でフライトナース目指してる人なら知らない人いないと思います」
いやいやいや、それは言い過ぎでしょう!
でもその子の目は至って真剣で。
「ほぉ〜」
森崎さんがニヤニヤとする。
「それにさっき映像流れてたじゃないですか」
「あの現場映像、一ノ瀬さんですよね?」
どうやらセレモニー中に流れていた実際のフライト映像を見ていたらしい。
「さすがとしかいいようがありませんでした」
「全然慌ててなかった」
「え、しかも綺麗……」
最後の小声まで聞こえてしまう。
私は少し困ってしまった。
すると。
「お前ら顔に出すぎやねん」
森崎さんが笑いながらツッコむ。
空気が一気に和らいだ。
そして最後に。
森崎さんが椅子を回しながら、みんなを見る。
「改めまして」
「大阪中央医療センターの森崎隼斗です」
「フライト歴8年」
「今回このプロジェクトの看護師主任やらせてもろてます」
さっきの壇上とは違う。
もっと近い距離感。
でもやっぱり、自然と空気の中心になる人だった。
「半年間、皆さんには本気で現場叩き込みます」
「多分めちゃくちゃしんどいです」
「普通に怒る時もあると思います」
育成ナースたちの顔が少し強張る。
でも森崎さんは、そこでふっと笑った。
「でも安心してください」
「見捨てることだけは絶対せえへんので」
その言葉に。
みんなの表情が少し変わった。
不安が、少しだけ安心へ変わる。
森崎さんの指導方法がなんとなく分かってきた気がする。
そして、森崎さんが立ち上がる。
「じゃ、次は育成側も自己紹介いきましょか」
「未来のフライトナースさん達、お願いします」
その言葉に。
6人の育成ナースたちが、少し緊張した顔で立ち上がった。

