マンションを出て、車へ乗り込む。
助手席へ座ると、陽貴くんが自然にシートベルトを引き寄せてくれた。
カチッ。
顔が近づく。
ふわっと香る、いつもの匂い。
「……近い」
思わず呟くと。
陽貴くんが少し笑った。
「今さら?」
「…恥ずかしいの」
そう返すと、陽貴くんが楽しそうに肩を揺らす。
車が静かに走り出す。
今日は珍しく、都内をどんどん離れていく道。
窓の外の景色が少しずつ変わっていく。
「で、ほんとにどこ行くの?」
私は気になってもう一度聞いた。
すると陽貴くんがハンドルを握ったまま、ちらっとこっちを見る。
「そんな気になる?」
「なる」
「ヒントならあげる」
「うん」
「今日は、“ゆっくりする日”」
その言葉に、少しだけ胸が高鳴る。
ゆっくり。
最近の私たちには、一番足りてなかった時間かもしれない。
高速へ入る。
車内には小さめの音量で音楽が流れていた。
陽貴くんは片手でハンドルを握りながら、もう片方の手で私の手を握る。
「眠かったら寝ていいよ」
「んーん、大丈夫だよ」
「ほんと?」
「2人でいれる時間を大切にしたいの」
そう言うと。
陽貴くんが少しだけ優しく笑った。
「……可愛い」
「すぐそういうこと言う」
本当にずるい。
それからしばらくして。
車が辿り着いたのは、山の方にある落ち着いた温泉旅館だった。
「……わぁ」
思わず声が漏れる。
静かな空気。
木の香り。
どこかほっとするような和の雰囲気。
大人っぽくて、すごく素敵だった。
「どう?」
隣で陽貴くんが少し笑う。
「最近ずっと忙しかったから今日は何も考えずにゆっくりしてほしくて」
その言葉に、胸がじんわり熱くなる。
私は旅館を見上げながら、小さく笑った。
「……すごく嬉しい」
そう言うと。
陽貴くんが安心したみたいに目を細めた。
「よかった」
スタッフの案内で部屋へ向かう。
通されたのは、露天風呂付きの客室だった。
障子を開けると、静かな景色が広がっている。
「すごい…」
思わず見入ってしまう。
すると後ろから、ふわっと抱きしめられた。
「気に入った?」
耳元で落ちる声。
私は少し照れながら頷く。
「うん……」
「ここなら、誰にも邪魔されないから」
その言葉に、胸が少し高鳴る。
陽貴くんはそのまま私の肩へ顎を乗せた。
「今日はいっぱい紗凪と過ごす」
「いっぱい甘やかす」
「いっぱい思い出作る」
低く優しい声。
その全部が、胸の奥へゆっくり染み込んでいく。
忙しくて。
不安になることも多くて。
離れる未来も近づいてる。
それでも今だけは。
ただ、“恋人”として隣にいたかった。
私はそっと陽貴くんの腕へ手を重ねる。
すると陽貴くんが小さく笑った。
「……やっと2人っきりでゆっくりできる」
その声があまりにも甘くて。
私はまた、どうしようもなく胸を高鳴らせていた。
助手席へ座ると、陽貴くんが自然にシートベルトを引き寄せてくれた。
カチッ。
顔が近づく。
ふわっと香る、いつもの匂い。
「……近い」
思わず呟くと。
陽貴くんが少し笑った。
「今さら?」
「…恥ずかしいの」
そう返すと、陽貴くんが楽しそうに肩を揺らす。
車が静かに走り出す。
今日は珍しく、都内をどんどん離れていく道。
窓の外の景色が少しずつ変わっていく。
「で、ほんとにどこ行くの?」
私は気になってもう一度聞いた。
すると陽貴くんがハンドルを握ったまま、ちらっとこっちを見る。
「そんな気になる?」
「なる」
「ヒントならあげる」
「うん」
「今日は、“ゆっくりする日”」
その言葉に、少しだけ胸が高鳴る。
ゆっくり。
最近の私たちには、一番足りてなかった時間かもしれない。
高速へ入る。
車内には小さめの音量で音楽が流れていた。
陽貴くんは片手でハンドルを握りながら、もう片方の手で私の手を握る。
「眠かったら寝ていいよ」
「んーん、大丈夫だよ」
「ほんと?」
「2人でいれる時間を大切にしたいの」
そう言うと。
陽貴くんが少しだけ優しく笑った。
「……可愛い」
「すぐそういうこと言う」
本当にずるい。
それからしばらくして。
車が辿り着いたのは、山の方にある落ち着いた温泉旅館だった。
「……わぁ」
思わず声が漏れる。
静かな空気。
木の香り。
どこかほっとするような和の雰囲気。
大人っぽくて、すごく素敵だった。
「どう?」
隣で陽貴くんが少し笑う。
「最近ずっと忙しかったから今日は何も考えずにゆっくりしてほしくて」
その言葉に、胸がじんわり熱くなる。
私は旅館を見上げながら、小さく笑った。
「……すごく嬉しい」
そう言うと。
陽貴くんが安心したみたいに目を細めた。
「よかった」
スタッフの案内で部屋へ向かう。
通されたのは、露天風呂付きの客室だった。
障子を開けると、静かな景色が広がっている。
「すごい…」
思わず見入ってしまう。
すると後ろから、ふわっと抱きしめられた。
「気に入った?」
耳元で落ちる声。
私は少し照れながら頷く。
「うん……」
「ここなら、誰にも邪魔されないから」
その言葉に、胸が少し高鳴る。
陽貴くんはそのまま私の肩へ顎を乗せた。
「今日はいっぱい紗凪と過ごす」
「いっぱい甘やかす」
「いっぱい思い出作る」
低く優しい声。
その全部が、胸の奥へゆっくり染み込んでいく。
忙しくて。
不安になることも多くて。
離れる未来も近づいてる。
それでも今だけは。
ただ、“恋人”として隣にいたかった。
私はそっと陽貴くんの腕へ手を重ねる。
すると陽貴くんが小さく笑った。
「……やっと2人っきりでゆっくりできる」
その声があまりにも甘くて。
私はまた、どうしようもなく胸を高鳴らせていた。

