トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

「紗凪〜……」

朝6時。

まだ眠い頭でお弁当を作っていると、後ろから陽貴くんが抱きついてくる。

「……重い」

「充電中」

完全に寝起きの声。

髪も少し跳ねてる。

外では“完璧王子様”なんて言われてる人が、家ではこんなに甘えん坊なの、未だにギャップがすごい。

「陽貴くん今日朝から撮影でしょ」

「うん……」

「じゃあ起きないと」

「紗凪も仕事」

「私はもう起きてるの」

そう言うと、陽貴くんが私の肩へ顔を埋めた。

「……行きたくない」

「子どもみたい」

思わず笑ってしまう。

すると陽貴くんが顔を上げて、じーっと私を見る。

「だって最近一緒にいれる時間少ない」

「帰ってきても紗凪寝落ちしてる日あるし」

「……ごめん」

「責めてない」

そう言いながら、ぽんっと頭を撫でられる。

「頑張ってるの知ってるから」

その一言が優しくて、胸がじんわり温かくなる。

私はお味噌汁をよそいながら、小さく笑った。

「はい、ご飯できたよ」

「はーい」

陽貴くんは素直に椅子へ座る。

その姿がなんだか可愛くて、また笑ってしまった。

「なに」

「別に〜」

「絶対なんか思ったでしょ」

そんなくだらないやり取りさえ、楽しかった。

朝ご飯を食べて。

一緒に家を出る。

玄関でネクタイを整えてあげると、陽貴くんが嬉しそうに目を細めた。

「……新婚みたい」

「っ……」

「茹でダコ紗凪ちゃんだ」

「朝から変なこと言うから!」

慌てる私を見て、陽貴くんが楽しそうに笑う。

そしてそのまま、軽く額へキスを落とした。

「いってきます」

「……いってらっしゃい」

ドアが閉まったあと。

私は熱くなった顔を押さえながら、その場にしゃがみ込む。

——心臓がもたない。