トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

「最近の紗凪、たまに爆弾投げてくる」

「そんなつもりないのに……」

「無自覚なのが一番危ない」

そう言いながら、陽貴くんが私の頬を両手で包む。

熱い。

距離が近い。

見つめられるだけで心臓がうるさくなる。

「……可愛い」

ぽつりと落ちる声。

そのまま額へ、軽くキスが落ちる。

次に頬。

鼻先。

最後に、唇。

優しく触れるだけのキスなのに、胸がいっぱいになる。

「陽貴くん……」

「ん?」

「今日もとっても甘いね」

そう言うと、陽貴くんがくすっと笑った。

「だって、あと1ヶ月しかない」

その言葉に、一瞬胸がきゅっとなる。

陽貴くんはすぐに私を抱き寄せた。

「だからその分、いっぱい一緒にいる」

「いっぱい甘やかす」

「いっぱい好きって言う」

低く優しい声。

その全部が、心の奥に染み込んでいく。

「紗凪が大阪行っても俺、絶対寂しさ我慢しないから」

「会いたくなったら会いに行くし」

「毎日電話するし」

「暇あったら秒で大阪飛ぶ」

思わず笑ってしまう。

「うれしい、ありがとう」

笑うと、陽貴くんが満足そうに目を細めた。

そのまま私をソファへ引き寄せる。

気づけば、彼の腕の中。

「……陽貴くん」

「なに」

「近い」

「好きな彼女なんだから近くていいでしょ」

即答。

しかも全く照れない。

ずるい。

私は顔を隠すみたいに陽貴くんの胸へ額を押しつけた。

すると、頭の上から小さな笑い声。

「ほんと可愛い」

「……うるさい」

「照れてる」

「照れるよ普通……」

こんなに真っ直ぐ好きって伝えてくれる人、初めてだった。

陽貴くんは私の髪を優しく撫でながら、ふっと息を吐く。

「紗凪といるとさ」

「うん?」

「“帰る場所ある”って感じする」

その言葉に、胸がじんわり熱くなる。

私はそっと陽貴くんを見上げた。

「……私も」

「陽貴くんといると安心する」

そう言った瞬間。

陽貴くんの表情が一気に甘くなる。

「それ反則」

「また?」

「うん」

そのまま、軽く唇を重ねられる。

今度はさっきより少し長く。

触れるたび、心臓が跳ねる。

離れたあとも距離は近いまま。

陽貴くんが私を見つめながら、小さく笑った。

「大阪行く前に、紗凪が俺なしじゃ無理にしとこ」

「っ……!」

一気に顔が熱くなる。

絶対わざと言ってる。

私が真っ赤になるのを見て、陽貴くんが楽しそうに笑った。

「その顔好き」

「……もう知らない」

拗ねるみたいに顔を逸らすと、すぐ後ろから抱きしめられる。

「ごめんって」

「でも好きだから仕方ない」

耳元で囁かれる低い声。

その声だけで、また心臓がうるさくなる。

忙しくて。

不安なこともたくさんある。

でも。

こうして陽貴くんの隣にいる時間だけは、全部忘れられる気がした。

私はそっと力を抜いて、陽貴くんへ身体を預けた。

するとすぐに、包み込むみたいに抱きしめ返してくれる。

——あぁ。

幸せだな。

こうして、私たちの1ヶ月限定の同棲生活が始まった。