トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

「テレビで見てたよ」

「ライブ」

「……かっこよかった」

その瞬間。

陽貴くんが、ぴたりと固まる。

私は目を瞬く。

「……え、なに」

すると。

陽貴くんが片手で口元を隠した。

「なに?」

「めちゃくちゃ照れる」

「なんで!?」

「紗凪に言われるの破壊力ある」

私は思わず笑ってしまう。

でもそんなやり取りすら、幸せだった。

やっと触れられる距離。

やっと隣にいられる。

陽貴くんが、ふっと目を細める。

「……帰ろっか」

その言葉に。

胸がじんわり温かくなる。

帰る。

“二人で”。

私はゆっくり頷いた。

「……うん」

すると陽貴くんが私のキャリーケースを持つ。

「あ、持つよ」

「いい」

「でも」

「紗凪は俺に甘やかされる係だから」

「なにそれ」

そんなことを言いながら。

陽貴くんは空いてるほうの手を、そっと私へ差し出した。

私は少しだけ目を丸くする。

すると陽貴くんが、優しく笑った。

「手、繋ご」

その声が甘すぎて。

私は少し照れながら、その手を握った。

指が絡む。

ぎゅっと握り返される。

その瞬間。

陽貴くんが、安心したみたいに小さく息を吐いた。

「……やっと触れられた」

掠れる声。

私は胸がいっぱいになる。

だから。

今度は私から、陽貴くんの肩へ少し寄りかかった。

「……いっぱい甘やかして」

小さく呟く。

すると陽貴くんが、完全に固まる。

「……紗凪」

「なに」

「今日ほんとにどうしたの」

「だって半年分」

私は少し笑った。

「もう、遠慮したくない」

その言葉に。

陽貴くんが、泣きそうなくらい優しく笑う。

そして。

繋いだ手を、もう一度ぎゅっと握り直した。

まるで。

もう二度と離さないと言うように。