——羽田空港。
到着ロビーの扉が開いた瞬間。
一気に人の波と音が押し寄せてくる。
キャリーケースの音。
誰かを呼ぶ声。
アナウンス。
慌ただしく行き交う人たち。
私はキャリーケースを引きながら、その光景をぼんやり見つめた。
東京だ。
帰ってきたんだ。
そう思った瞬間。
胸の奥が、じわっと熱くなる。
半年。
長かったようで、あっという間だった。
色んなものが頭の中を過ぎっていく。
でも。
次の瞬間。
そんな景色が全部、消えた。
人混みの向こう。
帽子とマスク姿。
少し深めに被ったキャップ。
黒いパーカー。
周囲に紛れるような格好なのに。
私には、一瞬で分かった。
——陽貴くん。
その瞬間。
胸がぎゅうっと締め付けられる。
会いたかった。
本当に。
苦しいくらい。
毎日連絡は取ってた。声も聞いてた。テレビ電話もしてた。
でも。
触れられなかった。
抱きしめてもらえなかった。
隣にいなかった。
その全部が、急に込み上げてくる。
陽貴くんも、私に気づいた。
目が合う。
その瞬間。
陽貴くんの表情が、一気に柔らかくなる。
私はもう、我慢できなかった。
キャリーケースの持ち手を離して。
人混みの中を、走り出す。
「紗凪っ……」
陽貴くんが少し驚いた声を出す。
でも私は止まれない。
会いたかった。
会いたかった。
会いたかった。
ずっと。
ずっと抱きしめてほしかった。
私はそのまま、陽貴くんへ飛び込むみたいに抱きついた。
ぎゅうっと。
力いっぱい。
陽貴くんの身体が、少しよろける。
でもすぐ、大きな腕が私を抱きしめ返した。
強く。
壊れ物みたいに優しく。
「……っ」
胸がいっぱいになる。
大好きな甘い香りに包まれる。
あぁ。
帰ってきた。
やっと。
本当に。
私は顔を埋めたまま、小さく笑う。
涙が滲みそうになるのを堪えながら。
「……ただいま、陽貴くん」
掠れそうな声。
でも。
ちゃんと笑って言えた。
すると。
陽貴くんの腕に、ぎゅっと力が入る。
「……おかえり」
震える声だった。
私はゆっくり顔を上げる。
近くで見る陽貴くんは、少し痩せていた。
きっと忙しかったんだと思う。
でも。
その目は優しくて。まっすぐで。
陽貴くんが、泣きそうなくらい優しく笑う。
「ほんとに帰ってきた……」
その声を聞いた瞬間。
私の目から、ぽろっと涙が落ちた。
「あっ……」
慌てて拭こうとすると。
陽貴くんが苦笑する。
「なんで泣くの」
「……だって」
声がうまく出ない。
陽貴くんはそんな私を見て、困ったみたいに笑った。
それから。
そっと額を合わせる。
「頑張ったね」
たったその一言で。
張っていたものが、全部ほどけそうになる。
私は泣きながら笑った。
「……うん」
陽貴くんが、また優しく抱きしめてくれる。
空港の喧騒なんて、もう何も聞こえなかった。
今、私の世界には。
この人しかいなかった。
到着ロビーの扉が開いた瞬間。
一気に人の波と音が押し寄せてくる。
キャリーケースの音。
誰かを呼ぶ声。
アナウンス。
慌ただしく行き交う人たち。
私はキャリーケースを引きながら、その光景をぼんやり見つめた。
東京だ。
帰ってきたんだ。
そう思った瞬間。
胸の奥が、じわっと熱くなる。
半年。
長かったようで、あっという間だった。
色んなものが頭の中を過ぎっていく。
でも。
次の瞬間。
そんな景色が全部、消えた。
人混みの向こう。
帽子とマスク姿。
少し深めに被ったキャップ。
黒いパーカー。
周囲に紛れるような格好なのに。
私には、一瞬で分かった。
——陽貴くん。
その瞬間。
胸がぎゅうっと締め付けられる。
会いたかった。
本当に。
苦しいくらい。
毎日連絡は取ってた。声も聞いてた。テレビ電話もしてた。
でも。
触れられなかった。
抱きしめてもらえなかった。
隣にいなかった。
その全部が、急に込み上げてくる。
陽貴くんも、私に気づいた。
目が合う。
その瞬間。
陽貴くんの表情が、一気に柔らかくなる。
私はもう、我慢できなかった。
キャリーケースの持ち手を離して。
人混みの中を、走り出す。
「紗凪っ……」
陽貴くんが少し驚いた声を出す。
でも私は止まれない。
会いたかった。
会いたかった。
会いたかった。
ずっと。
ずっと抱きしめてほしかった。
私はそのまま、陽貴くんへ飛び込むみたいに抱きついた。
ぎゅうっと。
力いっぱい。
陽貴くんの身体が、少しよろける。
でもすぐ、大きな腕が私を抱きしめ返した。
強く。
壊れ物みたいに優しく。
「……っ」
胸がいっぱいになる。
大好きな甘い香りに包まれる。
あぁ。
帰ってきた。
やっと。
本当に。
私は顔を埋めたまま、小さく笑う。
涙が滲みそうになるのを堪えながら。
「……ただいま、陽貴くん」
掠れそうな声。
でも。
ちゃんと笑って言えた。
すると。
陽貴くんの腕に、ぎゅっと力が入る。
「……おかえり」
震える声だった。
私はゆっくり顔を上げる。
近くで見る陽貴くんは、少し痩せていた。
きっと忙しかったんだと思う。
でも。
その目は優しくて。まっすぐで。
陽貴くんが、泣きそうなくらい優しく笑う。
「ほんとに帰ってきた……」
その声を聞いた瞬間。
私の目から、ぽろっと涙が落ちた。
「あっ……」
慌てて拭こうとすると。
陽貴くんが苦笑する。
「なんで泣くの」
「……だって」
声がうまく出ない。
陽貴くんはそんな私を見て、困ったみたいに笑った。
それから。
そっと額を合わせる。
「頑張ったね」
たったその一言で。
張っていたものが、全部ほどけそうになる。
私は泣きながら笑った。
「……うん」
陽貴くんが、また優しく抱きしめてくれる。
空港の喧騒なんて、もう何も聞こえなかった。
今、私の世界には。
この人しかいなかった。

