トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

風が吹く。

夕陽が少しずつ沈んでいく。

私はその景色を見ながら、静かに思った。

——もう終わるんだ。

この時間も。

この毎日も。

そう思った瞬間。

少しだけ寂しくなる。

すると。

森崎さんが、ふっと右手を差し出した。

「……ほな」

私は目を瞬く。

森崎さんは少し笑った。

「お疲れさまでした、相棒」

その言葉が、胸に響く。

私はゆっくり笑って、その手を握った。

大きくて。

温かい手。

事故後、何度も支えてくれた手。

森崎さんは握手をしたまま、少し目を細める。

「まぁ言うても」

「一生の別れちゃうし」

私は小さく笑う。

「……はい」

「ヘリ乗ってるもん同士、研修とか学会とか色々あるから」

「また絶対会います」

「その時、紗凪ちゃんめちゃくちゃ偉くなってたりして」

「それは森崎さんじゃないですか?」

「いやぁ俺もうおっさんなんで」

「絶対嘘」

二人で笑う。

そして。

森崎さんは、少しだけ優しい顔で言った。

「……また会う日、楽しみにしてます」

その声に。

私はゆっくり頷く。

「……私もです。ありがとうございました」

握っていた手が離れる。

でも、不思議と寂しさだけじゃなかった。

また会える。

きっとまた、同じ空の下で飛べる。

そう思えたから。

夕陽に照らされたヘリを見ながら。

私は静かに笑った。