トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

修了式が終わったあとも。

病院の中には、どこか特別な空気が残っていた。

いつも通り人は動いている。

ICUには救急車が来る。

モニター音も鳴る。

スタッフたちは忙しなく行き交っている。

それなのに今日だけは、時間の流れが少し違う気がした。

講義室では、最後まで写真を撮り合う育成生たち。

「絶対また会いましょう!」

「そっち行った時連絡します!」

「大阪来てほんまによかったです!」

泣きながら笑って。

何度も抱き合って。

名残惜しそうにしている。

私はその光景を、少し離れた場所から見ていた。

神波さんは、育成生に囲まれて泣いていた。

斉賀さんは笑ってるのに目が真っ赤。

橘さんも皆と打ち解けたようで「橘さん大好きです!」って抱きつかれて号泣している。

その姿を見て私は少しだけ笑った。

ほんの数ヶ月前までみんな不安そうだった。

ヘリへ乗るだけで緊張して。

自信なさそうにして。

「自分に出来るんでしょうか」

って何度も聞いてきていたのに。

今はもうちゃんと“フライトナースの顔”をしていた。

やがて育成生たちが、一人、また一人と病院を後にしていく。

キャリーケースを引く音。

「お世話になりました!」

という声。

最後まで何度も振り返る姿。

エレベーターの扉が閉まるたび。

胸の奥が、少しずつ静かになっていく。

——終わったんだ。

本当に。

長かった。

でも、一瞬だった。

そんな不思議な感覚。

私は小さく息を吐いて、その場を離れた。