トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

修了認定の日。

講義室には、少し特別な空気が流れていた。

みんなスーツ姿。

いつものスクラブじゃない。

それだけで、なんだか卒業式みたいだった。

前へ並べられた認定証。

名前を呼ばれ。

一人ずつ受け取っていく。

認定証を受け取った瞬間。

泣き出す子もいた。

「絶対忘れません」

「大阪来てよかったです」

「また一緒に飛びたいです」

そんな声が、あちこちで聞こえる。

私はその光景を見ながら、静かに思っていた。

——みんな、本当に頑張った。

事故があって。

止まった時間もあった。

でもその間も、プロジェクトは進み続けていた。

神波さんも。

斉賀さんも。

森崎さんも。

みんな、それぞれの場所で支えてくれていた。

だから今、ここに立てている。

そして。

最後に。

私たち指導者側へも、認定証が渡された。

“フライトナース育成指導者資格”

自分の名前が書かれた認定証。

それを受け取った瞬間。

私は少しだけ、息を止めた。

——生きて、ここまで来たんだ。

事故直後。

ICUで目覚めたあの日。

もう戻れないかもしれないって、本気で思ってた。

でも今。

私はまた、フライトスーツを着て。

こうして現場へ立っている。

その事実が、胸いっぱいに広がっていく。

「……一ノ瀬さん」

横を見ると、斉賀さんが笑っていた。

「お疲れさまでした」

私は少し笑う。

「まだ終わった感じしないですけどね」

すると後ろから。

「いやぁでも、ようここまで来ましたわ」

森崎さんの声。

振り返る。

その顔は、どこか穏やかだった。

いつもみたいにふざけているのに。

でも。

その目だけは、少しだけ優しかった。