トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

もちろん。

順調なことばかりじゃなかった。

事故のことも、橘さんのこともあった。

PTSD。

“飛べなくなるかもしれない”恐怖。

私自身も、事故から復帰したばかりで身体が思うように動かない焦り。

以前の自分との差。

何度も悔しくなった。

でもそんな時間も全部含めて、このプロジェクトだった。

だからこそ。

“成功”って言葉だけじゃ片付けられないくらい、濃い時間だった。

そして気づけば、このプロジェクトは全国から注目される存在になっていた。

医療系ニュースサイト。

学会。

専門誌。

“全国連携型フライトドクター、フライトナース育成モデル”

として、大きく取り上げられるようになっていた。

ICU休憩室。

昼休憩中に流れていた医療ニュース。

画面へ映ったヘリの映像に、私は思わず箸を止めた。

『大阪中央医療センターで行われている育成支援プロジェクト——』

ナレーション。

映像にはヘリ前で指導している森崎さん。

シミュレーションを行う育成生。

真剣な表情でメモを取る神波さん。

そして。現場での私の姿も映った。

「うわっ」

思わず顔をしかめる。

すると隣で見ていた神波さんが笑った。

「一ノ瀬さんかっこよく映ってますね」

「やめてくださいよ〜」

すると向かいにいた森崎さんがニヤニヤしながら口を開く。

「いやでも俺ら全国デビュー果たしたやん」

「サイン考えとかな」

ICUスタッフたちが笑う。

そんな何気ない空気が、なんだかすごく愛しかった。

そしてプロジェクト終盤。

育成生たちは、最終評価へ入っていった。

実技試験。

症例発表。

フライト同行評価。

一人一人、最後の確認が行われる。

以前なら緊張で声が震えていた子たちが。

今は堂々と、自分の判断を言葉にしていた。

「患者背景から考えて優先順位は——」

「搬送時間を考慮して——」

その姿を見るたび。

私は何度も胸が熱くなった。