トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-

育成支援プロジェクトは、いよいよ大詰めを迎えていた。

春から始まったこのプロジェクト。

最初は、本当に手探りだった。

全国から集められたフライトナースと育成生達。

それぞれ違う病院。

違う救急体制。

違うフライト文化。

同じ“フライトナース”を目指していても、考え方も動き方も全然違った。

最初の頃なんてシミュレーション中に現場が止まることも多かった。

「誰がリーダー取る?」

「今何優先?」

「先生への報告は?」

そんな基本的なところで混乱して。

悔しくて泣く子もいた。

自信をなくす子もいた。

夜遅くまで記録を見返している姿も、何度も見た。

でもその度に、みんな少しずつ変わっていった。

現場で怒られて。

ヘリの中で緊張して。

自分の未熟さに打ちのめされながら。

それでも諦めず、何度も食らいついてきた。

気づけば育成生たちの顔つきは、最初とまるで違っていた。

ある日のシミュレーション。

私は後方から全体を見ていた。

CPA対応。

現場は緊迫している。

以前なら、指示待ちで止まってしまっていた場面。

でも今は違う。

「ライン取ります!」

「搬送導線確保します!」

「先生、今のバイタルです!」

自然に声が飛ぶ。

動きが繋がる。

誰か一人じゃない。

ちゃんと“チーム”になっていた。

その光景を見た瞬間。

胸の奥が、じわっと熱くなった。

「……すごい」

思わず漏れた声。

隣に立っていた森崎さんが、小さく笑う。

「みんな化けましたなぁ」

その声には、どこか誇らしさが滲んでいた。

私もゆっくり頷く。

本当にそうだった。

みんな、ちゃんと現場で育っていた。