……それにしても。
俺はちらっと梓ちゃんを見る。
相変わらず綺麗やった。
派手すぎへんのに目引く顔。
疲れてるはずやのに肌も綺麗で。
目ぇ大きくて。
紗凪ちゃんとはまた違うタイプやけど、かなり美人やと思う。
東京には美人しかおらんのか?
そんなアホみたいな疑問がふと浮かんで、自分でちょっと笑いそうになった。
その時。
梓ちゃんのスマホが震える。
画面見た瞬間。
「あ、師長さんだ」
小さい声。
そのまま病室出て電話しに行く。
数分後、戻ってきたと思ったら。
またすぐスマホ鳴る。
今度は画面見て、少しだけ柔らかい顔した。
「……陽貴さんだ」
そう言って、また廊下へ出ていく。
多分。
紗凪ちゃんの状態、ずっと説明してるんやろな。
陽貴くん、東京戻ってからもかなり不安定そうやったし。
それに加えて。
お父さんお母さんにも連絡して。
東京の病院側とも話して。
多分、自分の仕事の調整もしてる。
普通やったら、とっくに潰れててもおかしない。
でも梓ちゃんは、それを一切表に出さん。
病室戻ってきたら、またいつも通り笑って。
「紗凪〜、今日ちょっと顔色いいじゃん」
とか言うて。
明るく振る舞ってる。
……ほんま。
いい友達持ったな、紗凪ちゃん。
俺は眠る紗凪ちゃんへ視線を戻す。
ベッドの上の彼女は、静かに呼吸してた。
そのすぐそばで。
親友が支えてくれてる。
恋人が必死に想ってくれてる。
家族が世界中から飛んできて。
こんなに誰かに大事にされてる人、そうおらん。
それはきっと。
紗凪ちゃん自身が、今まで周りを大事にしてきたからなんやろなって。
そんなことを、ぼんやり思った。

