トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

その日。

森崎さんは、本当にずっと私のそばにいてくれた。

点滴更新の時間になれば看護師さんと一緒に確認して。

痛みが強そうなら先生へ声をかけて。

私が少し咳き込めば、すぐ背中をさすってくれる。

主任だから。

多分、それもあるんだと思う。

今回の件の責任を感じてるのかもしれない。

育成チームの中心だったし私を大阪へ推薦してくれたのも森崎さんだった。

だから余計に、“自分が見てないと”って思ってるんだろうなって。

そう考えると、少し申し訳なくなった。

本当は森崎さんだって、ずっと働きっぱなしのはずなのに。

でも。

「大丈夫です」

って言っても、多分この人は離れない。

なんとなく分かってしまった。

私はというと。

全然、身体がついてこなかった。

少し目を開けてるだけで疲れる。

喋れば咳が出る。

胸も痛い。

身体中が重くて。

まるで鉛でも入ってるみたいだった。

だから結局。

ほとんど眠って過ごした。

うとうとして。

少し目が覚めて。

また眠る。

その繰り返し。

でも不思議と、不安は少なかった。

目を開けるたび。

そこに森崎さんがいたから。

カルテを見てたり。

パソコンを触ってたり。

コーヒー片手に何か作業してたり。

それでも。

私が目を開けると、すぐ気づく。

「起きた?しんどいとこない?」

って。優しい声で。

私は小さく頷く。

すると森崎さんが、ストロー付きの水を少し飲ませてくれた。

少し笑った声。

私は掠れた声で、

「……ねむ、い……」

と言う。

すると森崎さんが吹き出した。

「赤ちゃんみたい」

「しゃーないけど」

その言い方が少し面白くて、私は小さく笑う。

でも笑うと胸が痛い。

「っ……」

顔をしかめると、森崎さんがすぐ「ほら無理せん」と言って背中をさする。

その手が妙に落ち着いた。

夕方頃。

また少し目を覚ます。

窓の外がオレンジ色に染まっていた。

ぼんやり視線を動かす。

森崎さんは、相変わらず同じ椅子に座っていた。

私は小さく眉を寄せる。

「……もり、さき……さん」

「ん?」

「……かえ、ら……ない……んです、か」

掠れた声。

森崎さんは一瞬きょとんとしたあと、ふっと笑った。

「追い出すん?」

私は小さく首を横に振る。

すると森崎さんが、少しだけ優しい目をした。

「なら、おります」

その言い方があまりにも自然で。

私はなんだか安心してしまった。

そのまままた、ゆっくり瞼が落ちていく。

眠る直前。

「……ちゃんと元気なってな」

そんな声が、すごく近くで聞こえた気がした。