私は少しでも“大丈夫”って伝えたくて、もう一度口を開こうとした。
「……たち、ば——」
でも。
次の瞬間。
「っ……げほっ、ごほっ……!!」
強い咳が込み上げる。
肺が震えるたびに、胸の奥がズキッと痛んだ。
喉も焼けるみたいに熱い。
「っ、は……ぁ……」
うまく息が吸えない。
その瞬間。
「一ノ瀬さん、無理したらあかん」
森崎さんがすぐベッド横へ来る。
背中へそっと手を当てて、ゆっくりさすってくれる。
「まだ抜管したばっかやから」
「喉も肺もボロボロなんです」
その声が思ったより優しくて。
私は少しだけ力を抜いた。
森崎さんは酸素マスクの位置を軽く整えながら、小さく息を吐く。
「……ほんま、戻ってきてくれてよかった」
掠れた声だった。
いつもの軽い調子じゃない。
本気で安心したんだって分かる声。
私はぼんやりその横顔を見る。
その時。
「じゃあ私、少し買い出し行ってきます」
梓がバッグを持ちながら言った。
「紗凪の飲めそうなものとか、色々買ってくるので」
そして森崎さんと橘さんを見る。
「少し紗凪お願いします」
「任せてください」
森崎さんがすぐ頷く。
橘さんも小さく「はい」と返事をした。
梓は私の顔を覗き込む。
「すぐ戻るからね」
私は小さく頷いた。
扉が閉まる。
部屋の中に少し静かな空気が戻った。
でも。
橘さんはまだ俯いたままだった。
私はその姿を見ながら、ゆっくり呼吸を整える。
身体は重い。
少し話すだけで、すぐ疲れる。
でも。
このままにはしたくなかった。
私はゆっくり手を動かす。
点滴の入った重い腕。
それでも何とか、橘さんの白衣の袖を軽く引いた。
橘さんがハッと顔を上げる。
私は酸素マスク越しに、小さく笑った。
「……いき、てる……から」
掠れた声。
でも。
それだけはちゃんと伝えたかった。
すると。
橘さんの目から、ぽろっと涙が落ちた。
「……っ」
慌てて顔を逸らす。
でも全然隠しきれてない。
森崎さんがその横で、小さく苦笑した。
「ほ…んと…よかった…生きてくれて、ありがとう…ございます」
泣きながら返す声に、私は少しだけ笑ってしまった。
その瞬間また軽く咳き込む。
森崎さんがすぐ「ほら笑いすぎ」と背中をさする。
その手が、妙に温かかった。
「……たち、ば——」
でも。
次の瞬間。
「っ……げほっ、ごほっ……!!」
強い咳が込み上げる。
肺が震えるたびに、胸の奥がズキッと痛んだ。
喉も焼けるみたいに熱い。
「っ、は……ぁ……」
うまく息が吸えない。
その瞬間。
「一ノ瀬さん、無理したらあかん」
森崎さんがすぐベッド横へ来る。
背中へそっと手を当てて、ゆっくりさすってくれる。
「まだ抜管したばっかやから」
「喉も肺もボロボロなんです」
その声が思ったより優しくて。
私は少しだけ力を抜いた。
森崎さんは酸素マスクの位置を軽く整えながら、小さく息を吐く。
「……ほんま、戻ってきてくれてよかった」
掠れた声だった。
いつもの軽い調子じゃない。
本気で安心したんだって分かる声。
私はぼんやりその横顔を見る。
その時。
「じゃあ私、少し買い出し行ってきます」
梓がバッグを持ちながら言った。
「紗凪の飲めそうなものとか、色々買ってくるので」
そして森崎さんと橘さんを見る。
「少し紗凪お願いします」
「任せてください」
森崎さんがすぐ頷く。
橘さんも小さく「はい」と返事をした。
梓は私の顔を覗き込む。
「すぐ戻るからね」
私は小さく頷いた。
扉が閉まる。
部屋の中に少し静かな空気が戻った。
でも。
橘さんはまだ俯いたままだった。
私はその姿を見ながら、ゆっくり呼吸を整える。
身体は重い。
少し話すだけで、すぐ疲れる。
でも。
このままにはしたくなかった。
私はゆっくり手を動かす。
点滴の入った重い腕。
それでも何とか、橘さんの白衣の袖を軽く引いた。
橘さんがハッと顔を上げる。
私は酸素マスク越しに、小さく笑った。
「……いき、てる……から」
掠れた声。
でも。
それだけはちゃんと伝えたかった。
すると。
橘さんの目から、ぽろっと涙が落ちた。
「……っ」
慌てて顔を逸らす。
でも全然隠しきれてない。
森崎さんがその横で、小さく苦笑した。
「ほ…んと…よかった…生きてくれて、ありがとう…ございます」
泣きながら返す声に、私は少しだけ笑ってしまった。
その瞬間また軽く咳き込む。
森崎さんがすぐ「ほら笑いすぎ」と背中をさする。
その手が、妙に温かかった。

