紗凪side
ただ、眠かった。
深い海の底へ沈んでいくみたいに。
身体が重い。
意識が浮かばない。
瞼も開けられない。
どれだけ頑張っても、また暗闇へ引き戻されていく。
でもそんな中。
どこか遠くで、誰かの声が聞こえていた。
「……紗凪」
優しい声。
掠れていて。
でも必死で。
何度も、何度も私を呼ぶ。
「……はやく起きて」
その声が、胸の奥へじんわり響く。
誰だろう。
知ってる。
すごく大切な人。
どこか懐かしくて。
聞くだけで安心する声。
その声は、今にも泣きそうだった。
「紗凪がいないと俺……」
そこで言葉が止まる。
苦しそうに息を飲む音。
私はぼんやり思う。
——泣かないで。
そんな声、出さないで。
私はここにいるから。
ちゃんといるから。
言葉にならない。
身体が動かない。
指先すら、うまく動かせない。
遠くでまた声がする。
「お願いだから」
「戻ってきて」
その声が、あまりにも苦しくて。
胸がぎゅっと痛くなる。
そんな顔させたいわけじゃない。
泣かせたいわけじゃない。
私はただあなたに笑っててほしいだけなのに。
暗闇の中。
私は必死に手を伸ばす。
届いて。
お願い。
ちゃんとここにいるって伝わって。
その瞬間。
温かい感触が、指先へ触れた気がした。
大きくて。
優しくて。
安心する手。
私はその温もりへ、ゆっくり指を絡める。
すると。
遠くで、小さく息を呑む音が聞こえた。
「……紗凪?」
震える声。
あぁ。
やっと。
届いた。
ただ、眠かった。
深い海の底へ沈んでいくみたいに。
身体が重い。
意識が浮かばない。
瞼も開けられない。
どれだけ頑張っても、また暗闇へ引き戻されていく。
でもそんな中。
どこか遠くで、誰かの声が聞こえていた。
「……紗凪」
優しい声。
掠れていて。
でも必死で。
何度も、何度も私を呼ぶ。
「……はやく起きて」
その声が、胸の奥へじんわり響く。
誰だろう。
知ってる。
すごく大切な人。
どこか懐かしくて。
聞くだけで安心する声。
その声は、今にも泣きそうだった。
「紗凪がいないと俺……」
そこで言葉が止まる。
苦しそうに息を飲む音。
私はぼんやり思う。
——泣かないで。
そんな声、出さないで。
私はここにいるから。
ちゃんといるから。
言葉にならない。
身体が動かない。
指先すら、うまく動かせない。
遠くでまた声がする。
「お願いだから」
「戻ってきて」
その声が、あまりにも苦しくて。
胸がぎゅっと痛くなる。
そんな顔させたいわけじゃない。
泣かせたいわけじゃない。
私はただあなたに笑っててほしいだけなのに。
暗闇の中。
私は必死に手を伸ばす。
届いて。
お願い。
ちゃんとここにいるって伝わって。
その瞬間。
温かい感触が、指先へ触れた気がした。
大きくて。
優しくて。
安心する手。
私はその温もりへ、ゆっくり指を絡める。
すると。
遠くで、小さく息を呑む音が聞こえた。
「……紗凪?」
震える声。
あぁ。
やっと。
届いた。

