トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

玄関先。

まだドアも半分開いたままなのに。

お互い離れる気配がない。

「会えると思ってなかったからすごく嬉しい」

私が胸元へ顔を埋めたまま言うと。

陽貴くんがくすっと笑った。

「明日大阪でイベントあって」

「え?」

「気づいたらもう大阪行きの新幹線乗ってた」

「ふふ……なにそれ」

「重い?」

少し不安そうに聞いてくる声。

私は顔を上げた。

「全然」

そう答えると。

陽貴くんがふっと安心したみたいに笑う。

その顔が、好きすぎて苦しい。

「……入る?」

「うん」

ようやく部屋へ入る。

ドアを閉めた瞬間。

また後ろから抱きしめられ、キスをされる。

「っ、陽貴くん……」

「ちょっとだけ充電させて」

低い声。

耳元で囁かれて、心臓が跳ねる。

「紗凪不足やばい」

ぎゅっと抱きしめる力が強くなる。

「毎日電話しても足りない」

「声聞いたら余計会いたくなるし」

近すぎる距離で目が合う。

その瞬間。

陽貴くんの表情が、少し変わった。

優しくて。

甘くて。

どうしようもなく愛しい顔。

「……紗凪」

名前を呼ばれるだけで、胸が熱くなる。

陽貴くんの指が、そっと私の頬へ触れた。

「痩せた?」

「そんなことないよ」

「ある」

真剣な声。

そのまま額へ軽くキスが落ちる。

「ちゃんと寝てる?」

「寝てる」

「ご飯は?」

「食べてる」

「…嘘だな」

バレてる。

思わず笑うと。

「これ以上痩せないで。心配になる」

そう言って陽貴くんが急に静かになる。

そのまま私を見つめた。

「……やっぱ会うとダメだ」

「え?」

「好きが増える」

心臓が止まりそうになる。

そんな真っ直ぐ言われたら、もう無理。

私は誤魔化すみたいに胸元へ顔を隠した。

すると。

「かわいい」

即座に言われる。

「っ……」

「その反応ずるい」

「陽貴くんが変なこと言うから……」

陽貴くんはまた優しく抱きしめた。

大きな手。

安心する匂い。

心臓の音。

全部が、“帰ってきた”って感じがした。

離れてた時間を埋めるみたいに。