トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

——そして翌日。

久しぶりのオフだった。

朝。

目が覚めても、すぐには動けなかった。

身体が重い。

頭もぼんやりする。

過酷な毎日を過ごしすぎているなと少し苦笑する。

私はベッドの上で小さく伸びをした。

カーテンの隙間から差し込む大阪の朝日。

静かな部屋。

久しぶりにアラームを気にしなくていい朝だった。

でも。

ふとスマホを見る。

陽貴くんとのトーク画面。

昨日も少しだけ電話した。

最近は、お互い忙しくてタイミングが合わない日も増えていた。

会いたい。

その気持ちは日に日に強くなるのに。

簡単には会えない。

私は小さく息を吐いて、ベッドから降りた。

その時だった。

——ピンポーン。

突然インターホンが鳴る。

「……え?」

私は思わず固まった。

大阪へ来てから、家へ誰か来たことなんてない。

森崎さん……?

いや、今日ヘリって言ってたし。

宅配?

でも頼んだ覚えない。

もう一度。

——ピンポーン。

私は少し警戒しながらモニターを見る。

そして。

「……え?」

思わず声が漏れた。

そこに映っていたのは。

帽子。

マスク。

黒パーカー。

完全変装。

でも。

見間違えるはずがない。

慌てて玄関へ向かう。

ガチャ。

扉を開けた瞬間。

「陽貴……くん……?」

目の前に立っていたその人が、ゆっくりマスクを外した。

少し眠そうな目。

でも見た瞬間、胸がいっぱいになるくらい会いたかった顔。

陽貴くんは、そんな私を見ながら少しだけ笑った。

「……寂しすぎて会いにきた」

その声を聞いた瞬間。

ぶわっと涙が出そうになる。

「え……なんで……」

「今日急遽オフになったから」

そう言いながら、陽貴くんは少し肩をすくめる。

「気づいたら新幹線乗ってた」

「っ……」

そんなの。

反則すぎる。

私は言葉が出なくなった。

ただ目の前の陽貴くんを見る。

会いたかった。

本当に。

毎日連絡は取ってた。たまに声も聞いていた。

でも。

やっぱり全然違う。

そこにいる。

触れられる距離にいる。

それだけで、胸がいっぱいになる。

すると陽貴くんが少し眉を下げた。

「……なにその顔」

「え……?」

「俺今、紗凪不足すぎて死にそうだったのに」

少し掠れた声。

その瞬間。

限界だった。

私はそのまま陽貴くんへ抱きついた。

「っ……」

陽貴くんが少し驚いたみたいに息を呑む。

でもすぐ。

ぎゅっと強く抱きしめ返された。

「……会いたかった」

気づけば、声が震えていた。

すると頭の上から、小さく笑う声。

「俺のセリフ」

そう言って。

陽貴くんは、壊れ物みたいに優しく私の頭を撫でた。