トップアイドルは白衣の天使に恋をするsecond

すると今度は橘さんの話になる。

「橘さんは技術高いです」

私が口を開く。

自然と全員の視線がこちらへ向いた。

「観察能力もあります。急変察知も早い。経験を積んでいるだけあって病院内ならかなり動ける人です」

そこまで言って。

私は少しだけ言葉を選んだ。

「でも……」

会議室が静かになる。

「自分なりのこだわりが強い部分と、
“助けたい”が強すぎる分、周りが飛ぶ瞬間があります」

今日のシミュレーションを思い出す。

突っ込んでいった橘さん。焦りに飲まれかけた空気。

でも。

「逆に言えば」

私は静かに続けた。

「そこを越えたら、かなり強いと思います」

森崎さんが小さく笑った。

「一ノ瀬さん、ちゃんと見てるなぁ」

「フライト開始は問題なさそう?」

「はい、フライト開始大丈夫です」


高城先生は静かに腕を組んだままだった。

そしてぽつりと呟く。

「やはり、向き不向きが出始めていますね」

その言葉が、静かに落ちる。

誰も否定しなかった。

フライトは特殊だ。

技術だけじゃない。

知識だけでもない。

冷静さ。

協調性。

判断力。

精神力。

全部必要になる。

だからこそ。

ここから先は、さらに差が出る。

——本当の選別が始まる。

そんな空気が、会議室には漂っていた。