貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

「今回の案も、私が好きで見てきたものから出ている気がして。人の距離とか、言葉にしない感情とか、そういうものを仕事の資料に入れるのが、急に怖くなりました」

「変に思われるかもって?」

「はい」

「浮かれてると思われるかもって?」

私は顔を上げた。

大崎は、少しだけ苦笑した。

「顔に書いてある」

「そんなに出ていますか」

「最近だいぶ出る」

まただ。

前より隠すのが下手。

榊課長にも言われた。

私は肩を落とした。

「社会人として由々しき事態です」

「いいじゃない。人間っぽくて」

「今まで人間じゃなかったみたいに」

「仕事ができる静かな妖精みたいだった」

「褒めてます?」

「半分」

半分なのか。