貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

午後のレビューは、リュミエール本部の大きめの会議室で行われた。

先方は、運営担当の三枝、店舗オペレーション担当、そして今日から参加するというマーケティング部部長の久保田。

久保田は五十代前半くらいの男性で、穏やかな物腰だが、目が鋭かった。

榊課長が全体方針を説明し、瀬名が札幌店での現地調査を報告する。

真鍋のラフが映されると、先方の空気が少し前のめりになった。

「入口二歩手前で不安が生まれる、という観点は面白いですね」

三枝が頷いた。

「現場でも、確かにここで離脱しているお客様はいると思います」

よかった。

心の中で小さく息を吐く。

榊課長が、私の方に視線を寄こした。

「藤代、昼の感情導線を」

来た。

私は立ち上がり、モニターの横に移動した。

足元が少しだけふわつく。

でも、ここで逃げたら、全体のプレゼンが弱くなる。

瀬名の言葉を思い出しながら、私はスライドを切り替えた。