貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

翌朝、私のパソコンには、札幌から雪ではなく写真が降ってきた。

正確には、瀬名から送られてきた店舗視察データである。

〈札幌一号店、朝ピーク分です〉

〈昼の導線はこのあと送ります〉

〈あと、先輩の感情導線シート見ながら撮ったら、店の見え方変わりました。すごいですね〉

最後の一文で、私はマウスを握る手に力を入れた。

すごいですね。

瀬名はこういう言葉を、息をするように送ってくる。
大型犬が尻尾を振りながらボールを持ってくるような無邪気さで、人の心臓に直接ボールを投げてくる。

やめてほしい。
心臓はキャッチボール用の臓器ではない。