貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

会社に戻ると、午後は資料作成に追われた。

私は会議の発言を整理し、時間帯別の感情導線を一枚のシートにまとめた。

朝。「迷わず、早く、整う」

昼。「一人になりすぎず、少し逃げる」

夜。「帰る前に、ほどける」

言葉にすると、少し恥ずかしい。
でも、画面上に並べると、不思議とリュミエールの輪郭が見えてきた。

お客様は、ただコーヒーを買いに来るのではない。
その時々の気持ちを、短い時間だけ預けに来る。

真鍋に共有すると、数分後に返信が来た。

〈これ、デザイン案に落としやすいです。次回、私の方でラフにします〉

私は画面を見つめた。

胸が熱くなった。

真鍋が、私のメモを使ってくれる。

資料を整えるだけではなく、提案の中身に関わっている。
それは怖いけれど、うれしい。