貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

「注文するぞ」

榊課長の声で我に返った。

私はアイスラテを選んだ。
今抱えている熱を冷めさせたかったからだ。

榊課長は、ホットコーヒーと、季節限定のキャラメルナッツケーキを注文した。

キャラメルナッツケーキ。

私は思わずレジ横の小さなケーキを見た。
しっとりした生地に、艶のあるキャラメルソース。
かなり甘そうだ。

榊課長が。
鬼課長が。
キャラメルナッツケーキ。

「何だ」

「いえ」

「言え」

「甘いもの、お好きなんですね」

「悪いか」

「悪くありません」

むしろ良いです。

鬼課長、甘党。

情報の追加が急すぎる。
昨日は猫にやさしい。
今日はキャラメルナッツケーキ。
設定資料集なら「ギャップ過多」と赤字が入るところである。