貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

「笑っているな」

低い声がした。

顔を上げると、榊が立っていた。

手には、紙袋と、カップが二つ。

私はカップを見た。

「ホットコーヒーではないんですか」

「避けた」

「経験に基づく判断ですね」

「そうだ」

榊は、私の隣に腰を下ろした。

「アイスラテ」

彼が差し出したカップを、私は受け取った。

冷たい。

ありがたい。

文明は今日も私を救ってくれる。