貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

午後からは、完全に仕事だった。

いや、完全に、というのは少し嘘だ。
榊課長が会議室で「藤代」と呼ぶたび、私の心臓は微妙に反応した。

しかし私は社会人である。

内臓に恋愛感情が発生していても、資料のフォントサイズは揃える。
心拍数が上がっていても、クライアント提出用の表記ゆれは取る。
愛は大事だが、提出データの添付漏れはもっと現実的にまずい。