貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

私がいつものベンチに座ると、榊は隣ではなく、向かいのベンチに腰を下ろした。

向き合う形になった。

この公園で、私たちは何度も並んだ。
距離を測り、仕事の話をし、熱いコーヒーを笑い、しらたまを見た。

でも、ちゃんと向き合ったのは、初めてかもしれない。

しらたまが、ベンチの下からこちらを見た。

猫にも見守られている。

いや、見守っているというより、「人間、また何かやってるな」という顔だ。
正しい。
人間はいつも何かやっている。