貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

午後一時。

リュミエール本部の会議室は、前回より少し人数が増えていた。

運営担当の三枝。

マーケティング部部長の久保田。

店舗オペレーション担当の方。

さらに、商品企画の女性担当者も同席している。

人数が増えた。

つまり期待されている。

つまり、怖い。

私は資料を手元に置き、椅子に座った。

隣には瀬名。

前方には榊課長。

少し離れた席に真鍋。

「本日はよろしくお願いいたします」

榊課長の声で、会議が始まった。

いつも通り低く、落ち着いている。

「前回ご指摘いただいた、ブランド体験としての感情の連続性について、構成を組み直しました。今日は、冒頭のコンセプト部分を藤代から説明します」

来た。

私は立ち上がった。

視線が集まる。

見られている。

以前の私なら、ここで自分を小さくした。

できるだけ目立たず、無難に、誰かの言葉を借りて乗り切ろうとした。

でも今日は、違う。

違うはずだ。

私は息を吸った。