貴腐人の憂鬱――鬼上司と犬系後輩に、秘密を握られました――

榊課長が、熱い缶コーヒーを慎重に一口飲んだ。

そして、眉間にほんのわずかな皺を寄せた。

「……熱い」

「でしょうね」

「笑うな」

「笑っています」

「開き直るな」

私はまた笑った。

今日くらいは、少しだけ許されたい。

榊課長は缶コーヒーを下ろし、私を見た。

その目は、会議室で資料を見る時のように鋭くて、でも、どこか静かに温かかった。

「藤代」

「はい」

危機を越えたあと、榊課長は静かに言った。

「次は、守られる側で終わるな。前に出ろ」